伯林蠟人形館/皆川博子
お、お、面白かったー!!!
わたしの皆川さん歴は、ゆめこ縮緬→倒立する塔の殺人→本作ってな感じだったんですが。ゆめこ縮緬で「んんん…」と思いまして、第一印象はちょっと読み方がわからない作家でした。そして倒立する~で、百合!なんだか耽美!と思って、皆川さんといえば文章はきれいなんだけど読むのに疲れる作家という認識に落ち着いていました。佐藤亜紀もそんな感じかな。だから伯林を借りたのは夏だったんですがつい最近まで忘れたフリをしていました。最低w
それで…そうだな、やっぱり第一章は「うわぁ…」だったんですが、二章のナターリャが始まったあたりで「ん…?」と思って、最後の「アルトゥール。」という独白で「おおお!!」となりました。自分でもどこに心を動かされたのかわからない。ナターリャあたりでこの小説の構成がわかりはじめてくるというのもあるのかな。モノローグ→事実というね。ハイニの章になると当然のようにアルトゥールが出てくるけど経歴ではもう死んでるじゃない。「なんだと…?」という感じでこれまたわたしのテンションは上がりました。なんていうか、これは話のわからなさを楽しんできたような気がします。でもどんどん読み進めるうち、あそこでのあいつはこいつだったのか!!というねたばらし(?)もあって、軽くカタルシスを覚えることもできましたが。各章の題名がそれぞれの個人名で、帯にもある通りそいつらがいろんな場所で複雑に絡み合うから、ああ、わたしこういうの好きなんだなぁ!と読んでてわくわくしっぱなしでした。ミステリー…といったらミステリーなんだけど…だとしたら死んだのはだれだろう、ヨハンか?(笑)ただ、オチでは「そうまとめるの…!」と多少憤りました^^別にツィツェリエを「作者」にする必要は…なかったんじゃ…。
しかしですね、皆川さんの書く男と男はどうしてこうも耽美なのか。さっきからいってますが佐藤さんも完全にこの枠ですよね。むしろ佐藤さんが皆川さんに影響されてるのか。実際ちょっと苦手…だったので、アルトゥールの章では引いちゃったんだけど、他の章でやや客観的にアルトゥール→ヨハンを描かれたらころっと萌えてしまった^^あ、ハイニの章かな。そうだ、わたしハイニが好きなんだ← 後半にくると、ヨハンが自分(に模した人形)が死んでいるのをみて悦にいってるシーンなんかは「いいぞもっとやれ」という勢いでした。これは、進化なのか侵食なのか汚染なのか?(笑)と少し自分が心配になりつつも。Z**なんて表記も、佐藤さんもやっていてどうも苦手だったんですが今なら出されてもそんなに嫌悪感はないかもしれない。あと…さんざん出てくるドイツの情勢には苦労させられました。ルンピンに赤色革命に…どれだけオンライン辞書のお世話になったことか。改めてヨーロッパは地雷だなと思いました。でも以前より苦手意識はなくなった気がする。
そんな感じで、いいじゃん皆川博子!ってなってますいまは。もしこの先もっと好きになることがあったら、「伯林蠟人形から入った」と言えます^^なんか友人が次は聖餐城を貸してくれるらしいです。これまた…。