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マクロイ作品を読んで、ツイッターで書いていた感想をまとめました。

※私が読んだ順ですが、概ねベイジル・ウィリングシリーズの刊行順です
※感想の長さはバラバラです

 

『歌うダイアモンド』

・作者自選の短編集なせいか、創元推理文庫なのに半分くらいただのSFで不思議な感じ
・「純粋に数式を解いていけば答えが分かる」という本格ミステリの基本に立ち返った短編だった そうでした!!確かにあの状況で、犯行が可能なのは1人だけでした!!!みたいな感じの純度の高い気付きがある
・特に「鏡もて見るごとく」は完璧な本格ミステリ短編 同じ場所に同じ人間が二人現れるというオカルティックな謎を科学ですっぱり解き明かすんだけど、最後に科学では解けない謎も少し残る…これだー!これです 読んでください
・あとこれ、探偵役のベイジル・ウィリング博士がかっこいいんですよ どんなオカルトな話を聞いても最初から科学的な思考で推理を始めてる、ドッペルゲンガーを目撃した人物に対して真っ先に人間なら誰でもするはずの体臭を感じなかったかを質問してる 現代のオカルトなんて1ミリも信じてない
・この本で「人は祈る時、愛を交わす時、数を数えたり数学の問題を解く時の三つの場合に常に母国語に立ち返る」という説を知ったのでなんかどうにかして創作に活かしたいんだけど

 

『死の舞踏』
・「デビュー作なので後年の作品のような切れは薄い」みたいな感想を5回くらい見た
・容疑者の中に被害者を殺す動機のある人間があまりにも見つからないから、「では誰がこのような人間に心理的に殺意を抱くのか?」という心理学的観点から犯人を推理する 面白かった
・後半は突然現れた人間が突然重要な情報をもたらしたりし始めてなんかとっ散らかってた

 

『月明かりの男』
・途中から疑惑の学生・ホールジーくんの謎を解く話になってたような気がするけど面白かった
・逃走する月明かりの男の目撃証言が3人とも食い違っていた話、そんなに検証されてなくない?
・ベイジルウィリング博士シリーズ、心理学に精通している精神分析医が探偵なせいで、犯人を推理していく手掛かりが「事情聴取でこんな言い間違いをした」とか「この単語を答える時にだけ言い淀んだ」とかだから読んでるこっちも気が抜けない
・物理的な手掛かりがあれば探偵役に「何だこれは!」とか言わせてればいいけど、会話の中に散らばる心理的な手掛かりで推理していくスタイルだと、探偵役が手掛かりをつかんだことに読者が気付けないので犯人が分かるシーンがやや唐突に感じられてしまうような気がした
・海外ミステリの犯人はアメリカ製とフランス製のタイプライターに気をつけろよと思うよな
・「物理的なトリックは発表当時こそ斬新でも、時代を経ると陳腐化してしまうおそれがある。しかし、心理的なトリックは人間の心が変わらない限り普遍的なものだ。」なるほどね〜〜

 

『ささやく真実』
・かなり序盤でヒントが出ており、あまりにも単純な論理で犯人が割り出せる構造になっていて、おい!!確かにそうですね!!!って感じの解決でした(褒めている) これ頭いい人は気付くのか?

 

『小鬼の市』※激推しです
・小鬼の市読み始めたんだけど舞台がカリブ海の島でいまめっちゃカリブ海の島行きたい
・ヘレンマクロイ、文章がうまい 品が良い 情報の出し方が巧み
・カリブ海に浮かぶ架空の島でスパイアクションで本格ミステリだよ!!雰囲気も文章も良いし主人公も格好いいよ!!よろしくな!!!
・ウィリング博士シリーズとして読むとかなり異色すぎて賛否両論になるのは分かるし私も最後は少し「ええ~…」って思ったけどまあそれはそれとしておおむね最高!!!みたいな気持ちなので

 ・マクロイでいきなり小鬼の市がいいよって言うのめっちゃ邪道なの分かってるんですけど、色気のある男たちと知的な会話と南の島と潜入捜査が最高だからシリーズものとかあまり気にしない方にはぜひ読んで欲しい
・「浅瀬はライムと翡翠の色。深いところはトルコ石とサファイヤとラピスラズリの色。地中海はこの半分も青くない。ここより北へ行ったら、海を見ても二度と青いとは感じないだろう。」『小鬼の市』で好きだった海の描写はここ

 

『逃げる幻』
・逃げる幻読みましたけどめちゃくちゃ面白いんですけど…
・不穏な雰囲気を醸し出すのがうまくてもうぐいぐい読まされる そして伏線回収がうますぎる あとマクロイ自身が頭がいいから作中でも頭のいいキャラが頭のいいことを喋るシーンに説得力がありすぎる
・ていうか普通に主人公ウィリングかと思って読んでたら違って割と怒ったんだけど、先述のように伏線回収が素晴らしすぎたのでどうでもよくなった

 

『ひとりで歩く女』
・思ってたサスペンスとは若干趣向が違ったけど、西インド諸島で客船クローズドサークルもので楽しい
・読み終わった……怖かった…
・ひとりで歩く女、めちゃくちゃオススメしたいかというと微妙…ただタイトルの付け方が内容と相まって秀逸すぎるのでそれだけで加点みたいな感じはある
・「わたしは殺されるかもしれない」から始まる手記が本編の2/3を占めていてそれがかなりスリラーだからページをめくる手が止まらない ウリサール警部が出てくるのは捜査パートなんだけどそれが若干段取りで地味なのでやはりマクロイは本格の人なのだと思った

・あと訳文がけっこう直截的で平易だから読みやすいことは間違いないんですけど、かたやウィリング博士シリーズで駒月さんが知的で詩的な文体で訳されているのを読んでしまっていると…駒月さん訳でも読んでみたかったなあ~~と思ってしまう
 

※ここだけオタク全開の感想

・ウリサール警部はやっと取れた休暇でニューヨーク行くしそのニューヨークにはウィリング博士がいるのでこれは確実にニアミスするでしょ むしろウィリング博士に会いに行くつもりだろウリサール これは状況証拠です 推しカプが爆誕してしまった

 

『家蠅とカナリア』
・ロジックは割と雑だったけど雰囲気と謎が良かったので本格ミステリ欲は満たされたって感じ
・これが傑作って言われてるのは解説にもあるとおり「心理で突き止め物証で確定する」をド直球に手堅くやってるからなんだろうな ただそれに洗練がやや足りないような気がしてしまうんだよな
・あと二件目の殺人防げたんじゃ
・原題のままの方がいいって感想よく見たし全く同意見だけど、タイトルにカナリアが入るのはけっこう好き
・それとセリフや言葉のセンスがちょいちょい古めかしくて気になってしまったからやっぱり訳者の好み超大事
・終盤のシーン、容疑者の女性の手からおだやかにバッグをとりあげ中身をあらためるウィリング博士が良かったよね

 

『暗い鏡の中に』
・これは~~プロトタイプの方の短編の方が良かったかな…それかそっち読む前に読みたかった

 

『悪意の夜』
・面白かったけど後味が悪くてしょんぼりした タイトルは原題のザロングボディの方が良かったな 何故邦題にすると絶妙にズレるのか

 

『幽霊の2/3』
・マクロイの出版界への恨みつらみ持論などなど全開で面白かったです




 

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