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ちゃんと今日も目が覚めたのは 君と笑うためなんだよ
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※芥川受賞作を好き勝手言ってるので最初に謝っておきます。

土の中の子供/中村文則

今更なにが好き勝手だよ!と思わなくもないですがね(笑)書店で「掏摸」を見かけたときからこのひと気になるな~と思ってたんです。掏摸は本屋大賞ノミネートだっけか。だから実は暗めの純文学作家だと知ったときにはちょっとびっくりしました。なんで!?エンタメ作家じゃないの!?っていう(笑)
薄いし文章も全く突っかからないのでものすごくさらっと読めます。重いとか暗い…という感想をちらほら見るけど別に暗くない。と思ってしまうわたしがおかしいんだろうか。暴力を描いてるという点ではヘヴンと通じるものがあるなー。ああ、ヘヴンが頭にあったからそんなに暗いと思わなかったのかな。まあヘヴンも暴力描写がものすごいだけで暗いかって言われると暗くも…ない気がするんだけど。この話をしてると「暗いとは何か」みたいなこと語り出しそうなので(もう既に語りたくなってる)ちょっと止めますw
とにかくね…何が一番印象に残ったかっていうと主人公の脆さだよね。言い方がすごく悪いんだけど、どっちかっていうとラノベ系というか。昔の虐待の記憶がトラウマになってて人と話してても幻覚を見て取り乱すとか…こっちのツボ刺激し過ぎだろ!!集団で殴られながら頬に土の感触を感じながら「何かを待っていた」って深い…文学的に深いと思うんだけど主人公に対するなんともいえない想いの方が何より先にきてしまった。小説を読んでいてこんなにむずむずしたのは初めてかもしれない。これは私の中のS性とM性のどちらが喚起されているのか?私は彼を殴る人間に同化しているのか、殴られている彼に同化しているのか?むしろどちらでもなく、淡々と描かれる暴力に何かを感じてたんだろーか。でもわたし別に暴力好きじゃないしな(笑)

「人が私に一撃を加える。その一撃は放たれた瞬間、もう取り返すことはできない。それによって私が死んでしまうか、まだ生きているかは、彼は決めることができず、私も決めることができない。」
「なぜ彼らは私に暴力を振うのか。幼かった私が行き着いた結論は、彼らが私ではなく他人だからだ、という、単純なものだった。少なくとも、彼らが私自身だったなら、私に対してこのようなことはしない。」

このへんは、あー、あーそういう考え方をするか!みたいな感じで納得したかな。他人だからだ、ってすごいよね。ホントだよね。他人だから殴っても自分痛く無いしね。
あと主人公と住んでる女の人が出てくるんだけど、んーあんまり好きじゃなかったかなあ。ドライなんだろうけどドライになりきってない女みたいな感じで。主人公は養父との関係でもう完結しちゃっても良かったんじゃないかなあ。と思ったのは個人的な意見。
これ2005年の芥川賞なんだけど、芥川賞…?ううむ。文体はすごく芥川賞なんだけどね。日本の純文学の文体が目指す形態はよく分かった。こんな感じだ。最近古井由吉の「杳子」を読みましたが、その男女逆転版って感じもしたなあ。弱い男を女が支えていくっていう。

とりあえず中村さんの書くトラウマ持ちの男っていうのが半端なくツボにはまったので他の小説もぜひ読んでみたいと思います。←結論
そして「掏摸」はなんか…因縁浅からぬ男二人の物語なんでしょ?気になるじゃない。



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